ピンク・フロイドを聴く Pt. 1

マイ10大プログレ紹介シリーズ 第1弾

Pink FloydKing CrimsonやYesのような卓越したテクニックを駆使したサウンドではなく、幻想的で緊張感に満ちたサウンドを展開。

1965年結成。当時のメンバーはRoger Waters(ロジャー・ウォーターズ)、Richard Wright(リチャード・ライト)、Nick Mason(ニック・メイスン)を含む6人。 その後メンバーチェンジを繰り返し、Syd Barret(シド・バレット)らを加入させてPink Floyd Soundとなる。デビュー前にはこの名前を挙げた4人でPink Floydとなる。

サイケデリック

シド・バレットが主導していた1967年、シングル「Arnold Layne」でデビュー。また続くシングル「See Emily Play」がイギリスのチャートで6位を獲得するヒットに。

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Arnold Layne

Arnold Layne

See Emily Play

See Emily Play

その後8月に1stアルバム『The Piper at the Gates of Dawn』(夜明けの口笛吹き)をリリース。このアルバムもシドが大部分を作詞作曲し、サイケデリック・ロックの名盤として語り継がれている。
「Astronomy Domine」(天の支配)や「Intersteller Overdrive」(星空のドライブ)は後のプログレ路線にも通じる雰囲気を感じる。サイケ路線としては「Bike」が秀逸。

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プログレ志向

シドがLSD摂取によりバンド活動がままならなくなり、それを補うためにDavid Gilmourデヴィッド・ギルモア)が加入。しかし結局シドは1968年に脱退。その後サイケ路線からの脱却を図り、より独特で構成力の強い作品を生み出していく。
1968年の『A Saucerful of Secret』(神秘)には12分にも及ぶインスト曲が収録された。この曲は建築科出身のウォーターズとメイスンが構成を考え、ギルモアがほとんどを作曲した。作品全体としてはサイケ路線とプログレ路線が混在する内容で、シドが作曲した曲も収録されている。

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この頃は映画のサウンドトラックを手がけることが多く、また精力的にライブを行っていた。1969年には『Soundtrack from the Film More』および『Ummagumma』をリリース。前者は映画のサウトラで、サイケやプログレというよりは、バンドのルーツに近いサウンドが聴ける。後者はライブ盤とスタジオ盤の2枚で構成され、スタジオ盤ではメンバー4人がそれぞれ曲を作って演奏をしている。

バンドの転機となるのは1970年。『Atom Heart Mother』(原子心母)をリリースし、以降プログレッシヴ・ロックの代表格として認知されるようになる。23分もの大作「Atom Heart Mother」(原子心母)はブラスバンド+チェロを取り入れたもので、彼らにプログレとしての成功をもたらした立役者。「If」(もしも)は後のさらなる成功に繋がるコンセプトを秘めている。「Alan's Psychedelic Breakfast」はあまり有名ではないが、ファンの間では佳曲として知られるミュージック・コンクレート。

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また続く1971年に発表した『Meddle』(おせっかい)では、バンドのサウンドがさらに一層成長したことの証である「Echoes」を収録。この曲はファンにも非常に人気が高く、2001年にリリースされたベストアルバムのタイトルにもなった。この曲が完成したことにより、バンドは正真正銘のプログレバンドになったとも言える。またアルバム冒頭に収録された「One of These Days」(吹けよ風、呼べよ嵐)は日本でシングルカットされ、スマッシュヒットとなった。

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Echoes

Echoes

全盛期

「Meddle」のツアー後、世に名盤と名高い次作の制作にとりかかった。また並行して映画のサウンドトラックも手がけ、新作よりも先に『Obscured by Clouds』(雲の影)としてリリースされた。

そして1973年、満を持してリリースされたのが『The Dark Side of the Moon』(狂気)であり、ロックの歴史に燦然と輝く大傑作として知られている。人間の内面に潜む狂気を映し出すというコンセプトの下制作された。組曲としての側面を持っていて、LP盤におけるA面B面の切替部分以外は全曲が1つにつながっている。「Time」や「Us and Them」など数多く代表曲が収録されている。特に「Money」は非常にキャッチーな曲で、シングルカットされて大ヒットした。個人的にはアルバムの大詰めである「Brain Damage」~「Eclipse」の流れが非常に好きだ。
このアルバムの凄い点はその内容に限った話ではない。米国ビルボードチャートでは発売以来741週に渡ってランクインし続け、ギネス記録に認定された。2009年からはランクインに関する制限が撤廃され、それ以降再びチャートにランクインし、記録を更新し続けている。結果として全世界で5000万枚以上を売り上げており、これはMichael Jacksonの『Thriller』(1億枚以上)につぐ大記録。

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アルバムのツアー後しばらくの休暇を経て、1974年に新作の制作に取り掛かった。日用品で演奏する「Household Objects」という試みがあったが断念、その後やっとのことで生み出されたのが『Wish You Were Here』(炎~あなたがここにいてほしい)である。このアルバムは前作でさえなし得なかった全英・全米の両方で1位を獲得。ギルモアやウォーターズが最も好きな作品と語っており、2つに分けて収録された計25分を超える大作「Shine on You Crazy Diamond」やアルバムタイトル曲である「Wish You Were Here」(あなたがここにいてほしい)のようにピンク・フロイドの最大の武器である美しいメロディと神聖な雰囲気に満ちた作品である。

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Pt. 2に続く。