ジェネシスを聴く Pt. 2

ポップへ

ハケットが脱退後、新たなメンバーを加入させることなく『...And Then There Were Three...』(そして3人が残った)を1978年にリリース。コリンズが存在感をやや強めたことによりポップさが増しているが、人数が減った分バンドとしての結束力は増したようにも感じる。ポップ路線としては「Scenes from a Night's Dream」や「Follow You Follow Me」があるが、特に後者は全英7位のヒット曲となった。これ以降はアメリカでの人気を一層強めていくことになる。またこの時初来日も果たした。

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Follow You Follow Me

Follow You Follow Me

前作リリース後は各メンバーがそれぞれの活動に入り、バンドは1980年になって『Duke』をリリース。前作からの流れをより一層強め、収録曲の大部分はポップ・ロックとなっている。「Turn It on Again」は全英8位のヒット曲となった。とはいえプログレ路線を完全に捨てたわけではなく、デューク組曲(「Duke's Travel」および「Duke's End」)にその片鱗を残している。

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Turn It On Again

Turn It On Again

前作から1年のスパンでリリースされた『Abacab』では、前作までのポップ路線を踏襲・発展させている。前作に続いて全英1位を獲得、アメリカでもトップ10入りを果たすヒットとなった。タイトル曲は7分を超える曲ながらポップに仕上がっており、全英9位のヒットとなった。それ以外にも「No Reply at All」、「Keep It Dark」のように非常に明快なポップソングが収録されている。

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Abacab

Abacab

間にライブアルバムを挟んで1984年にリリースされた『Genesis』は全英1位、全米9位のヒットに。また「Second Home by the Sea」がグラミー賞ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンスにノミネートされた。「Mama」は全英4位となり過去最高位を記録したが、これまでのポップソングともまた違う新しい面をみせている。全米6位となった「That's All」はより明快なリズムとメロディをもったポップソングだ。これまではポップ・ロックとプログレが共存していたが、このアルバムではその殆どがポップ側に傾いている。

Second Home By the Sea

Second Home By the Sea

絶頂期

ポップ路線の到達点とも言うべき『Invisible Touch』がリリースされたのは1986年。全世界で1500万枚を売り上げた超大ヒット作であり、シングルカットされた曲もことごとくヒットとなった。日本でもCMタイアップがついたタイトル曲は全米1位を獲得。他にも「In Too Deep」と「Tonight, Tonight, Tonight」は全米3位、「Throwing It All Away」と「Land of Confusion」は全米4位となった。加えて「Land of Confusion」のミュージック・ビデオはグラミー賞でコンセプト・ミュージック・ビデオを受賞した。前作よりも若干プログレ的要素が含まれており、8分超えの曲と10分超えの曲が収録されている。

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ある意味過剰とも言えたポップ路線を踏まえつつも、かつてのプログレ路線へと回帰を目指した『We Can't Dance』も大ヒットとなった。売上枚数だけをみるならば、前作を超えるセールスを記録した。とはいえシングルカットされてヒットするのはポップ路線の曲であり、穏やかかつ爽やかな「No Son of Mine」は全英6位。「I Can't Dance」はポップともまた違う路線のブルージーなロックだが、全英全米共に7位となった。ソロ活動においても大成功を収めていたコリンズは、次作を発表する前に脱退。そのことも相まって、ジェネシスの黄金時代を締めくくる集大成というべき作品となった。スローテンポに展開し、中盤でシンセソロが唸る「Fading Lights」も白眉だ。

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コリンズの代わりとしてRay Wilson(レイ・ウィルソン)が加入した新生ジェネシスとして1997年に『Calling All Stations』をリリース。ウィルソンのボーカルは非常に厚みと深みがあるのだが、ジェネシスの幻想的なサウンドにマッチしているとはいえない。アルバム全体のサウンドも、ポップ路線からの脱却を意識したためか、プログレを無理矢理引き出しているような強引さが感じられる。シングル・カットされた「Congo」も全英29位と、これまでのヒット曲に比べると結果は芳しくなかった。全英2位を獲得したものの評価は芳しくなく、翌年活動を休止した。

2006年には黄金期の3人で活動再開したが、コリンズが病気の影響で引退。これ以上の活動は不可能と判断し、バンドは事実上の解散となった。2010年にはロックの殿堂入りを果たした。